プロが”本気”で教える財務分析(第2回)【キャッシュ・フローで会社の動きを掴む】(具体的にシャープを使って)


第1回はシャープを題材にして、有価証券報告書をとりあえず見てみました。



そして、シャープが家電を中心に販売していて、グループ会社が106社もある超巨大な会社ということが分かりました。


皆さんなら、シャープって名前知ってるし、大きい会社だろうなということは分かっていたと思いますが、



名前すら知らない会社でも前回と今回の作業をするだけでどれくらいの規模で


優良企業か厳しい企業か


色んなことが分かります!!






さて、ようやく財務内容をみるのですが、


今一度、有価証券報告書のリンクを貼っておきます。

開けなくても心配しないでください!

適宜、資料を載せていくので。





これを一緒に見ながら進めていきましょう!!





さて、どこから見ていこうかな?

どこから見てもいいのですが、





おすすめ2ページ第一部【企業情報】 第1【企業の概況】 1【主要な経営指標等の推移】 (1)連結経営指標等からスタートすることです



「連結」って何?



難しいなあと思ってイヤになってきた人もいると思います。




ざっくりいう「グループ会社が106社もあった全体で」ってイメージです。



つまり本体のシャープ株式会社1社だけでなく、グループ全体の売上は?ということです。




企業情報はグループ全体で見ることをおすすめします!!


なぜかというと、親会社である本体は黒字だけど、子会社が超赤字でグループ全体では赤字ということがあるからです。


逆に子会社の方が大きい場合もあります。


有名なところでは、フジテレビの親会社はかつてニッポン放送(ラジオ)でした。


それを狙って、ライブドアはニッポン放送株をかつて買って騒動になったりしました。


懐かしいですねえ。



つまり、伝えたいことグループ全体で見た方がいいということです。



ところどころで説明のために脱線します。


「そんなん知ってるわ」って方には申し訳ありませんが、

有価証券報告書を知らない入門者でも分かるようにしたいと思っているのでお付き合い願えたらと思います。






さてさて、再びシャープ


ここから少し数字の側面が大きくなってきます!!


2ページの連結経営指標等を見てください。

シャープ(連結経営指標)


とにかく数字がいっぱい並んでいて、数字が苦手な方はイヤな気持ちになるかもしれません。


そこをぐっと我慢して


これは過去5年分シャープの売上とか利益が載ったものです。



「経営成績は1期や2期でなく、3期、4期の流れで見る」




この言葉もかつて所属した銀行の支店長のお言葉です。


流れを見ることで多くのことが見えてきます!



具体的にいきましょう!!




まず僕が一番最初に見るところは売上の規模


どれくらい売り上げているんだろうというところです。


これは一番右上の数字を見てください。

シャープ(連結経営指標)


2,786,256百万円


つまり2.7兆円の売上高があります!!



僕の中で売上高が1兆円を超えてくると巨大企業という1つのモノサシがあります。



その2.7倍!!




さすがシャープ!!

デカイ!!






続いてみるのはその下の経常利益


△92,526百万円



つまり925億円の赤字!!



「えっ、ヤバイやん!!」


しかもよく見ると平成27年3月期だけでなく、ちょっと左にいった平成24年3月期、平成25年3月期も赤字です。



経常赤字本業で利益が出ていないことを示します!!


ますますヤバイ!!


でも、赤字にも色んな理由があるので一概に



「赤字=ヤバイ」ではありません



例えば、とっても小さなオーナー会社の場合、


会社は100万円の赤字
でもよく見ると社長の給料が2000万円


単純計算で社長の給料を1000万円にすれば900万円の黒字になります。


こういうのは特に上場していないような中堅・中小企業を見る時に必要になる知識なのですが、


それはまたの機会にして、今回は上場企業であるシャープを見ていきます!!



赤字というだけでなんとなくイヤな雰囲気は伝わってきました。



大切なのは予想をしていくこと



新聞であまりよくない記事が書かれているので、きっとあまり良くないんだろうな





僕がこのページから本業がどうか見るポイントとなる箇所をお伝えします。





それは、下から5行目の「営業活動によるキャッシュ・フロー」

シャープ(連結経営指標)


キャッシュ・フロー(Cash Flow)というのは「お金の流れ」ということで、営業活動(=本業)でいくらお金を稼いだか見る指標です。




少し見ていきましょう。


予断ですが、利益も大切ですが、この営業キャッシュ・フローが毎期マイナスの会社はかなりヤバいと思ってもらってけっこうです。



会社というのはお金が払えなくなった時に潰れます。



取引先から買った商品代を払えない。

銀行にお金を返せない。

従業員に給料を払えない。






こういうのを債務不履行といって、少し違いますが、最近ギリシャが潰れるかどうかという話題でも出てきます。


本業の営業活動でお金が出て行き続けるというのはかなりマズい状況なんです。


出て行ったお金をなんとかしないといけません。


例えば、銀行からお金を借りる。

本社を売却して、お金を確保する。




ここでピンと来た方もいらっしゃるでしょう



そう!

シャープは銀行から追加のお金を借りて、本社の売却を検討しています。



では、それを数字の面から見ていきましょう!!


下から5行目の「営業活動によるキャッシュ・フロー」を見てください。

シャープ(連結経営指標)


直近の平成27年3月期とその前の平成26年3月期はプラスですが、それ以前の平成24年3月期、平成25年3月期は営業キャッシュ・フローがマイナスです。



ここからでも色んなことが分かります。



マイナスだったのがプラスになったということは良い傾向ということ


でも、平成26年にくらべて平成27年はプラスの幅が小さくなっている。


もしかしたらまだ来ていない未来の平成28年3月期はまたマイナスになるかもしれない。


お金持つのかな?



たった、これだけでこういったことが読み取れます。



お金がどれだけあるかは下から2行目の「現金及び現金同等物の期末残高」を見てください。



なんか長い言葉ですが、要は「お金をどれだけ持っているか」ということです。



<平成27年3月期>

232,211百万円

つまり2,320億円!!


おお、超持ってる!!


ひとまずすぐに潰れることはないのかなあという推測が立ちます。



これもまた別の機会に書きますが、中堅・中小企業ではヤバくなると明らかにお金が減っていきます。

社長の給料も200万円とかにしても赤字だし、預金も急減してたらヤバいサインです。


シャープはさすがにちゃんと大手金融機関がついていて、立派な経理の人がいるはずなので、
資金繰りに失敗して潰れることはないでしょう。




中小企業などでは、黒字倒産ということもあるのですが、これもまた別の機会に




私は財務分析をする上で初心者にはキャッシュ・フロー計算書一番会社を理解しやすいと考えます。



会社には色んな提出資料があって、
財務諸表というのですが、

主に売り上げや利益が載っている損益計算書

会社の財産や借金が載っている貸借対照表

お金の流れが載っているキャッシュ・フロー計算書の3つがあります。


この辺は名前なので、そう呼ぶんだなと思ってください。



この3つを相互に見ていくのが良いのですが、簡単に会社のことを知りたければ、キャッシュ・フロー計算書をまずみてください。


先ほどから見ている、営業活動によるキャッシュ・フロー(営業CF)のほかに投資活動によるキャッシュ・フロー(投資CF)財務活動によるキャッシュ・フロー(財務CF)があります。



名前が長いのでここからは略語で書いていった方が理解しやすいと思います。


先ほど、営業CF「本業でいくらお金を稼いだのか」と書きました。


同じように投資CFと財務CFについても簡単に説明すると


投資CFは名前の通り、「投資した結果、お金がどうなった(増えたのか減ったのか)」ということです。

投資とは、例えば、工場を建てるための投資(お金は出て行きますね)や、株を買ったり(これもお金は出て行きますね)などです。


財務CF銀行や証券市場などの外部からお金を借りた(お金は増えますね)のか、お金を返済した(お金は出て行きますね)のかということです。







具体的にシャープで見てみましょう!


これは単純にプラスかマイナスかで見ていいです。

ただし、プラスやマイナスの水準は大切です。


シャープ(連結経営指標)



<平成27年3月期>

・営業CF+170億円

・投資CF△160億円

・財務CF△1,360億円


う~ん、ここから言えるのは、借入か社債を返済したから財務CFが大きくマイナスになっているんでしょう


トータルで1,350億円のマイナスなので、下から2行目の「現金」が3,500億円から2,320億円に減ったのです。



ここで1つ解説


財務CFのマイナスは基本的には良いことです。

なぜなら借金が減るから!!

ただし、銀行が「この会社ヤバいからお金を取り立てている」場合もあるので、実はなんとも言えないのです。

特にメガバンクは逃げるのがうまいです。



ポイント営業CF、投資CF、財務CFのバランスです!


それが、プラスなのかマイナスなのか



私の愛読書決算書はここだけ読もう(矢島雅巳著)」にそのあたりが詳しく書いています。


財務諸表を基礎から学びたい方にこの本はかなりおすすめです。


矢島先生の回し者じゃないですよ(笑)


そこから一部引用しますと、

営業CFがプラス
投資CFがマイナス
財務CFがマイナス

の会社は「優良型」


なぜかというと本業で稼いで(営業CF、プラス)、しっかり投資(投資CF、マイナス)した上でまだお金が余っているから、借金を減らして(財務CF、マイナス)いる。


全ての会社に当てはまるわけではありませんが、ざっくりそういう見方ができます。



では、またもどってシャープ

平成27年3月期はプラスマイナスマイナス

えっ?!

優良企業になっちゃった!!

僕の感覚ではけっこう厳しいかなと思っていたのでこれは意外です。



こういう予想や推測と違った場合は「なぜなんだろう」としっかり考えてください。



尊敬する経営共創基盤CEO冨山和彦さんの講演に参加したとき下記のことをおっしゃっていました。





「なぜ」を5回以上繰り返さないと真理に辿り着けない。






上述の通り直近1期では「優良型」になりましたが、「流れ」で見てみましょう。




<平成26年3月期>

・営業CF+1,980億円

・投資CF△840億円

・財務CF+320億円

このプラスマイナスプラスは前述の矢島先生の本によりますと「積極投資型」です。


つまり本業で稼いで(営業CFプラス)、更にお金を借りて(財務CFプラス、投資する(投資CFマイナス


企業は基本的に投資し続けないと成長していかないので、投資CFのマイナスは別にどちらでもいいのです。



ただ1つ言えること


それは営業CFだけはプラスであって欲しいということです。


この「積極投資型」も営業CFはプラスなので、全然悪い会社じゃないです。



おお、2期連続で何かいい会社っぽいなあ。


僕の印象と違いました。


では、さらに遡って、





<平成25年3月期>

・営業CF△810億円

・投資CF+70億円

・財務CF+510億円


このマイナスプラスプラス「ほぼ死亡型」です。


なぜかというと本業でお金を稼げない(営業CFマイナス)から、持っている投資資産を売って(投資CFプラス)、それでもお金が足りないから、銀行から借りる(財務CFプラス)。


なかなかヤバそうな雰囲気ですね。


もう1期見てみましょう




<平成24年3月期>

・営業CF△1,430億円

・投資CF△1,590億円

・財務CF+2,560億円


このマイナスマイナスプラス「一発逆転型」です。


なぜかというと本業は厳しい(営業CFマイナス)けど、お金を借りて(財務CFプラス)投資にあてている(投資CFマイナス)。


投資が成功すれば営業CFがプラスになるはずだという理由です。


さらにさらにここに載っている一番古い5年前も見てみましょう




<平成23年3月期>

・営業CF+1,670億円

・投資CF△2,440億円

・財務CF△60億円


このプラスマイナスマイナスは直近の平成27年3月期と同じく「優良型」です。



ただし、平成23年3月期と平成27年3月期では同じ「優良型」でも全く異なった意味があります。




それは一番大切な営業CFの水準!!




平成23年の時は営業CFが1,500億円を超える大きなものであるのに対し、

平成27年は営業CFが+170億円と会社の規模からすると比較的小さな水準ということ


この頃のシャープは絶好調だったのです。

AQUOSが「亀山モデル」と呼ばれて液晶テレビなどの販売が好調だったころでしょうか


そして、実は平成23年3月期に現在のシャープ低迷の原因となった大きな影響を示す数字が隠されています



それは、

平成27年3月期 投資CF△160億円に対し、

平成23年3月期 投資CF△2,440億円!!


そう!!


巨大な投資をしたのです。




では、何をしたのでしょうか?




それも有価証券報告書から知ることができます。


4ページの【沿革】を見てください。

シャープ(沿革)


そこの平成22年3月 大阪府堺市に太陽電池工場を建設


さらに沿革のその上を見ると

平成21年10月 大阪府堺市に液晶パネル工場を建設

平成18年5月 三重県亀山市に亀山第2工場を建設とあります。



つまり、シャープは積極的に投資してきたのです。


これが全てうまくいっていれば、良かったのですが、

平成22年9月にリーマンショックがあり、景気が一気に悪くなりました。



この頃に就職活動をされた方は大変だったと思います。



積極的に投資をして、事業を拡大しているところでリーマンショックが来て、景気が悪化


投資を回収できるだけの売上が立たず、経営不振に陥った。


これが、シャープです。



有価証券報告書をみればそういったことが分かるのです。


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コメント

No title

初めまして。
先日はブロとも申請ありがとうございました。

理由はどうあれ、営業CFマイナスの会社の株は買いたくないですね。
大抵最後は潰れますし・・・(最近では江守GHDとか・・・危険な香りがプンプンする財務諸表でした)
まずは”Show me the money!”ですね(笑)

コメントありがとうございます

O.Aさん
コメントありがとうございます!
こちらこそ、ブロともありがとうございましたm(__)m

デイトレードするならまだ良いのかもしれないですけど、営業CFマイナスはねぇ。

長い文章だったのに読んでいただいて、コメントまでいただいてありがとうございました!

承認待ちコメント

このコメントは管理者の承認待ちです

Re: はじめまして

> 有価証券報告書の見方を勉強しているものです。
> すごくわかりやすいです。
> ぜひ第3回も更新していただきたいです!


コメントありがとうございます!

そう言ってもらえて大変嬉しいです!

3回目も出来るように頑張ります!

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プロフィール

YUKI

Author:YUKI
公認会計士・税理士
(大阪出身で、現在は滋賀在住)

新卒で銀行に行くも、あまり合わなくて、公認会計士に。

東京で上場企業の監査をした後、
今は京都の税理士法人で主に中小企業の税務、社会保険、株価の算定等をしています。

中小企業の経営者の良き相談相手になることを日々考えて仕事しています。

法学部卒なので、法律も少しかじっています。


<好きな言葉>

「楽しくないことでも楽しんでいきたい」

生きてるとイヤなことがいっぱいありますが、心の持ち様で明るく笑い飛ばせればいいなと思ってます。


お気軽にコメントください。

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